二年に一度の楽器の祭典、楽器フェアが開催。今回お目当てとして、Allen Hinds(アレン・ハインズ)というセッションギタリストがソロアルバムと共に来日。今回展示するPCIのサイトで彼のインタビューを読んでから興味が湧き、楽しみにしつつ会場へ。たまたま入った展示ホール入口が偶然PCIブースのド正面。ちょっと遅く2時頃到着したが、丁度デモ演奏が始まったところだった。アレンの奏法は、ロベン・フォードとパット・メセニーとアラン・ホールズワースを合体させたようなスタイルで、非常にメロディを大切にしつつもそこにサラリとテクニカルな運指を織り交ぜる、スマート・カッコいい物だ。(なお、その演奏スタイル同様、容姿も甘いマスクをした色気を持った人物である)デモ演奏は、XOTIC(エキゾチック)のペダル・エフェクターを中心に彼のソロアルバムの曲も交え、ベーシストの森岡克司さんと共に進めていく。
ソロアルバムからの曲を演奏。スムース・ジャズを基調に、アレンの流麗な手さばきが軽やかに冴え渡る。対して森岡さんはゴリゴリと攻め立てるようなスタッカート気味の超絶フレーズを連発。ベーシストのソロフレーズは余りよく分からないが、アレンがそう大きくスケールアウトしないのに対し、森岡さんはかなりアウト気味だった(少なくとも聞いた印象としては)。その一方でバックに回ると堅実にボトムを支えており、森岡さんの生真面目な性格が伺える。ちょっとバランス的にベースの出音がでかいのが気になったかな。ソロから曲に戻る際に、ペダルをオフにするのを忘れて、若干ハリキリ過ぎたのかも。
使ってるギターについて説明があり、XOTIC製でアレンの好みに合わせて作られた、SSHレイアウト、メイプル指板、アッシュボディのストラトタイプ。ブリッジのKTS製チタンサドルについては、初めはその効果を疑問視していたものの(アレンは大のヴィンテージ好きらしく、パーツも全てオリジナルでないと嫌派)、実際にPro Toolsで録音した波形を見て、これは良いという事で、以降全てのギターのサドルをチタンにしたとか。チタンサドルでは基音がより通るようになる。また、錆びないため弦への悪影響が少なくなる、チューニングの狂いも減る。森岡さんのベースについては、ボディが多層構造になっていて、重量が軽い割にしっかりした低音が出るとのこと。また小さい手でもハイポジションが弾きやすいようにカッタウェイも深く入れられている。軽い事で長時間の演奏に耐えられるそうな(重いと気になって集中力が途切れてしまうそうです)
2日前に書き上げたばかりの新曲も披露。曲名もちゃんと決まってなかったそうな。一応仮名で「Jet Rag(時差ボケ)」とついた曲。曲名の通り、地に足の着かないコード進行が浮遊感を匂わす夢ごこちの曲調。
XOTICのペダルはそれぞれアンプの原音を保ちつつ(それもかなりの高次元で)、それぞれカラーがはっきりしていた。RC Boosterはほとんど歪まないが出音をグッと前に押し出す感じ。ゲインを上げるとブルース・ロックに適したスイートな音。AC Boosterは歪みの可変幅が広く温かみのある音。BB Preampはハイ成分の食いつきが良くアタックが良く出て、ローも持ち上がる。ハードロック向き。さらにRC+ACを二個ストレートに繋いだ時に厚みが一段と増す。「エレクトリック・ハムサンドイッチ」ではなく、ビッグな音になるというのが一番適当な表現か。使える音だと感心しきり。このRC+ACで滑らかな、まるで魔法のようなリックを次々に繰り出す。
アレンのペダル・ボードはRC/AC/BBと全部入り。フルトーンのClyde Wah、グッドリッチのボリュームペダル(演奏中に頻繁に操作してダイナミクスに変化をつけていたのが印象的だった。ボリューム奏法にも本体のボリューム派とペダル派があるが、アレンはペダル派の様だ)、Arion(アリオン)のコーラス(モディファイの可能性あり)、LINE6のMM4(モジュレーション系。今回の演奏では多分使ってない)、茶色のペダルはT-REXのReplica(ディレイ)か。以下、XOTICのカスタムメイド・ギター、KTSのブリッジ、Dr.Zのアンプ、みんなこのブースで出展している製品で固められている。一方の森岡さんも同じくXOTIC製ベース、Dr.Zのアンプ、Bass BB PreampとBass RC Boosterペダルという感じ。
最後の曲でオケを鳴らしていたiPodがトラブルを起こし、曲がブッツンブッツン途切れる。しかし二人はとまどいつつも再度曲に乗る(プロの意地)。人力の演奏だったら少々リズムが狂っても力業で押すことが出来るが、不幸にも相手は機械。絶対に融通が利かないからトラブルを起こしたら100%駄目になる。奏者と聴衆の間に気まずい空気が漂う。トラブルに常に不安を抱かなければいけないので、文明の利器も必ずしもいいとは限らない。演奏が終わって、アレンがiPodに対し「クビだっ!」解雇通告(笑)。ちなみに昨日から調子は悪かったそうな。
お客さんの一人からの「演奏中はどういったことに一番注意しているか(気をつけているか)?」という質問に、「ソロの中でもメロディをつける様な意識でもって、歌うようなフレージングをする事。どれだけ早く弾くか、どれだけ音数を詰め込むかというのは、曲の流れの中においてはあまり関係のない部分なんだ。自分の中で持ってるフレーズを曲の中にどのように配置していくか、曲が盛り上がっていく中でいかに自分が上手く乗っていくか、そういう事を考えるようにしてるよ」との事。自分の演奏ばかりに集中しすぎて周りが見えなくなってしまっては台無しなのである。森岡さんもメロディックな演奏を心がけてはいるが、まだまだ上手くいかないといってました。何て謙虚な!常に森岡さんはアレンの前では謙遜するばかり。あの好サポートぶりは見逃しちゃあいませんよ。
そして最後にPCIの方が「当社では単に機材を提供するだけでなく、演奏者のメンタル的な部分にも踏み込んでいくような、そういったものを目指しています」と印象的な抱負を述べて、デモは終了。製品のポテンシャルと、非常に精神面で参考になる部分の多いデモでありました。
2005年11月07日
この記事へのコメント
はじめまして。質問なんですがBB PREAMPの前期、後期ってどう見分けられるのかご存知でしたらお教えください。後期のほうは改善されている部分があるとの情報があったので。宜しくおねがいします。
Posted by tetsu at 2006年11月14日 19:26
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